産駒の高い勝ち上がり率で注目を集めている新進気鋭の種牡馬パイロ。今週のJRA開催では、ダート1700m以上の距離で3勝、世代、クラスを問わない走り、勝負強さ、距離適性の広さがパイロの種牡馬としての能力の高さを示している。
まずは、2月27日 (土) 、小倉競馬場で行われた4歳上・500万下 (ダート1700m) に出走したパイロキシン。惜敗が続いていた本馬だが、中団追走から直線抜け出すと、ゴール前の追い比べをきっちり制し、自身にとって2勝目をあげた。パイロキシンは母イシノスティール、母の父ラムタラという血統の4歳牡馬。母イシノスティールはJRA3勝。本馬の叔父には2005年の産経賞オールカマー (G2) 勝ち馬で2004年の菊花賞 (G1) 2着のホオキパウェーブがいる。
パイロキシン (2012年生・牡・栗)
父パイロ 母イシノスティール 母の父ラムタラ
馬主 加藤 徹 様
美浦 柴田 政人 厩舎
日高町 大狩部牧場 生産
続いて同日、阪神競馬場で行われた4歳上・1000万下 (ダート2000m) に出走したエンキンドル。2番手追走から、直線の壮絶な叩き合いを制し、4勝目をあげて見事、準オープン入りを果たした。エンキンドルは日高町・ダーレー生産。母ラヴィングプライド、母の父Quiet Americanという血統の5歳牡馬。母ラヴィングプライドは2002年のオマール賞 (仏・G3) 勝ち馬。半弟のラヴアンドポップは昨年のコスモス賞 (OP) に勝利している。
エンキンドル (2011年生・牡・青)
父パイロ 母ラヴィングプライド 母の父Quiet American
馬主 H.H. シェイク・モハメド
栗東 野中 賢二 厩舎
日高町 ダーレー 生産
翌日の2月28日 (日) 、中山競馬場で行われた3歳未勝利 (ダート1800m) にはシゲルクロダイが出走。2番人気に支持された本馬は、10番手追走から向こう正面で一気に先頭に並ぶ強気の競馬で直線入ると、人気馬との追い比べを制して、見事初勝利を挙げた。シゲルクロダイは日高町、千葉飯田牧場生産。母シゲルコラバ、母の父ハンセルという血統の3歳牡馬。
シゲルクロダイ (2013年生・牡・鹿)
父パイロ 母シゲルコラバ 母の父ハンセル
馬主 森中 蕃 様
美浦 伊藤 圭三 厩舎
日高町 千葉飯田牧場 生産
パイロの父プルピット (Pulpit) は、種付料30万ドルを誇るアメリカのトップスタリオンであるタピット (Tapit) や、2014年の米年度代表馬カリフォルニアクローム (California Chrome) の父ラッキープルピット (Lucky Pulpit) ら数々の成功種牡馬を送り出す不世出のサイアーオブサイアーズ。現役時にはフォアゴーS (G1) を制しアメリカのトップマイラーとして君臨したパイロも、初年度産駒であるシゲルカガが北海道スプリントカップ (Jpn3) に勝利、さらに地方重賞を制したブラックヘブン、シャークファング、インディウム、ミスアバンセ等を送り出し成功を収める。とりわけ現3歳世代は、JRAにおいてビービーバーレルがフェアリーS (G3) を制覇、またメイショウスイヅキはもみじS (オープン) に勝利するなど芝のレースでも大活躍、さらにNARでも6戦無敗のポッドガイが出現するなど大物が続々出現。中央・地方あわせて既に35頭 (うちJRA勝ち馬16頭) が勝ち上がり、高い勝ち馬率で大きな注目を浴びている。